オトナ世代の静かなるブーム 私たち、本を出しました
貴重な経験、後世に伝えたいこと…。静かにたぎる熱い思いを本に託して、日々をイキイキと過ごすオトナ世代の皆さんを紹介します。
活動もまとめたリバーシブル本
たかはしさん(右)とさるわたりさん(左)
文芸同人誌「四国作家」に童話を投稿しているたかはしさん。2年前、三木町の個人図書館を訪れ、庭の大きなメタセコイアの前に立った時、木の精の存在を感じ、物語が生まれたと言います。
メタセコイアを研究している鹿庭緑さんに出会い、同町出身の三木茂博士が化石から発見、命名し、中国で見つかった1本から米国で増やして、戦後に世界に広まったことを知ります。「戦中の日中米の研究者が協力したと聞いて、メタセコイアは平和の木だと感動」。友人のさるわたりさんに作画を依頼し、ダイナミックなタッチと色彩が印象的な絵本が完成しました。
「メタセコイア友の会・三木」のメンバーとふるさと学習や図書贈呈もスタート。絵本を後ろから開くと、その活動やメタセコイアの説明、オリジナルの歌、研究者や三木茂資料館などの紹介もあるリバーシブル構成。増刷が続き、現在は1000部発行。
メタセコイアの精
メタグランマ
著・たかはしゆみこさん
絵・さるわたりけいこさん
自費出版
1100円(送料込み)
2020年5月刊
販売:猿渡さん(TEL: 090(5272)6772)に申し込み、郵送
授業は映画のようなドラマ構成であるベき
大平美徳(よしのり)さん
高校生の頃からの映画ファン。校長も務めた38年間の教員生活では、セリフを引用して講話したり、ドラマの構成を参考に授業を組み立てたり。2013年の教職の退職時には、それらの原稿をまとめ、自費出版してお世話になった人たちに配ったそうです。
それが好評だったことから、4年後にパート2を発行。同時にブログでも月2回、その中からチョイスして発表しています。
これらが東京の出版社の目に留まり、今回の出版へつながりました。70話を厳選し、1冊にまとめたもので、映画フィルムのイラストがモチーフに使われた装丁です。
タイトルの「MIE」は、「Movies in Education」の頭文字。一つひとつ、エッセイに加え、関連する映画のあらすじや代表的なセリフも掲載しています。
教育と映画のエッセイ集
MIE(エムアイイー)
22世紀アート
1993円(電子書籍は1000円)
2020年6月刊
販売:Amazon
しゅうとめに泣かされたから、今がある
大森吉子さん
小豆島でアイスキャンデーの販売店に生まれ、島内のしょうゆ醸造所「ヤマトイチ」へ嫁いだ大森さんの自伝エッセー。大森さんは、大好きな父の「苦労するからやめておけ」という助言を押し切った形で結婚。ところがしゅうとめに、父が精一杯用意してくれた嫁入り道具をけなされ、現金を持たせてもらえず…。嫁いびりに泣かない日はなかったと振り返ります。
30歳の頃、見かねた従業員の勧めで外商担当になり、岡山県へ。持ち前の商才を生かし、商売を拡充したことで、「あの厳しさに“なにくそ”とがんばったからここまでこれた。感謝の気持ちが込み上げてきた」と明るく話します。
父との思い出、家業、結婚、姉との最後の旅、次女の死…。波瀾万丈の半生を切り取った、涙と笑いを誘う27編。「行方不明の兄に一目会いたい。兄の目に留まってほしい」との思いも込めて上梓しました。
なにくその人生
自費出版 1000円
2020年6月刊
販売:小豆島内の土産物店など
大森さん(TEL: 090(4500)7120)から直接購入も可