四国八十八景を巡るフォトトリップの記録(4/5)
毎週金曜午後8時配信!四国八十八景を巡るフォトトリップの記録(4/5)
4、吉野川と私〜本楽寺、大歩危、四国まんなか千年ものがたり〜
本楽寺、大歩危、四国まんなか千年ものがたり。
この3つの景色に登場する川はなんでしょう。
答えは吉野川。
吉野川は、幹川流路延長194km、流域面積3,750k㎡、支流も含めれば、4県全てに唯一またがる一級河川です。
豊かな生態系を育み、古来から恩恵をもたらす一方、たいへんな暴れ川としても知られ、日本三大河・四国三郎とあだ名されるほど人々の生活に密接に関わってきたことが想像できます。
ではここからは河川クイズ
Q1.吉野川流域は、四国全域の約何%に相当する広さでしょうか。
①15% ②20% ③40%
Q2.日本全国には14,066本ある一級河川。
その水系は109本ですが、四国にはいくつの一級河川水系が存在するでしょう。(※平成30年4 月30日時点)
①3本 ②8本 ③11本
Q3.暴れ川として有名な吉野川。
堤防が築かれる昭和初期以前は、毎年のように氾濫していまたといわれていますが、
それによって肥沃な土壌を運び、下流域ではある植物の栽培が盛んに行われ、
現在でも国内有数の産地として有名です。その植物とは?
①藍 ②すだち ③葦
国土交通省水管理・国土保全局 統計・調査結果 河川より
A1. ② 四国の面積は18,800 km²。
A2. ② 吉野川のほかは、那賀川、土器川、重信川、肱川、物部川、仁淀川、四万十川。なお、長さでは四万十川、広さでは吉野川が四国一。
A3. ① 藍は台風より前に収穫可能で被害をうけにくく、また通常連作障害を起こすため、定期的な収穫が難しいが洪水が起きた場合は新たに流入した土砂によって生産が安定していた。ちなみに、すだちは9割以上を徳島で生産。葦も生産地として有名ではないが、たしかに河口付近に群生していて吉野川の語源であるともいわれている。
全問正解できたでしょうか。
吉野川についての予習も完了したので、それでは、巡った3カ所の紀行を紹介します。
本楽寺
うだつの町並みで有名な脇町の美馬市観光交流センターから川向こうに渡り、西に10km弱進んだ高台にある寺です。
すぐに見えるのは吉野川を望む枯山水・鶴亀ノ庭。
天気や時間によって表情をかえていく庭は、額のない絵画そのもの。
作庭は齋藤忠一さん。
京都の東福寺や光明院、身近なところでいうと
志度寺の庭園を作った作庭家・重森三玲に師事し、数々の庭を研究してきたそうです。
寺の裏にある、もうひとつの庭・回遊式庭園が。
その奥には茶室もあり、お抹茶をいただきました。
雄大な山や滝、川をそのままジオラマにしたようなつくりは、歩いていると縮図の中のサイズに縮んでしまったかのようで、自分の大きさが分からなくなる錯覚に陥りました。
日本版不思議の国のアリスを体験できるといった感じでしょうか。
拝観料、お抹茶は各300円。予約制のお弁当や、精進料理もあるそうです。
最寄り駅からも徒歩15分程で、アクセスも◎。
大歩危遊覧船
背景としての吉野川を堪能したあとに訪れたのは大歩危渓谷。
のんびりとした大きな川だなあと思っていたのですが、ここに来るとイメージは一変。
ゴツゴツとした白い岩肌はところどころ青く、水は澄んでエメラルドグリーンに輝いていました。
船に乗り込むと、間近に魚や野鳥が。
豊かな自然を川の中や岩場に棲むその生態系からも観察できます。
船頭さん曰く、この地名の由来は、
古い言葉で断崖絶壁を意味する「ほき(ほけ)」から付けられたという説と
文字通り「大股で歩くと危ないから大歩危」、「小股で歩いても危ないから小歩危」と名付けられたという説があるそう。
崖の上にはこれから乗る電車の線路が見えました。
昔はきっとこの渓谷を渡るのは、非常に難しいことだったのだろうなと実感します。
利用料金は大人1,200円、小人600円(3歳~小学生)。
親子3世代で来ている方も多かったですよ。
四国まんなか千年ものがたり
さて、最後はお待ちかねの観光列車。
大歩危駅から出発、琴平を経由し、終点多度津を目指します。
駅名の看板や、ロータリーの坂の具合。野生のレトロみがたまらない…
車両がホームでお出迎え
発車の時刻になると、法螺貝で送ってくれました。
この車両のコンセプトは“おとなの遊山”。
四国の美しい風景を眺めながら、遊山箱という箱に入った三段のお重弁当がいただけます。
囲炉裏をイメージした明かり
おもてなしの数々にうっとり。
しかし、この車両がすごいのは、車両の外側ラッピング、内装、料理、四国の景色だけではないのです。
車窓の外を見ると…
地元の方々が、この電車が通る時刻にあわせ、手を振ってくれている!
一人暮らしのおばあちゃん、老人ホームの皆さん、車内でサーブされる料理やお菓子をつくっている会社の人…。
それは通る都度、目にする車掌さんが一番良く知っていてそれぞれの人の話を車内で聞かせてくれるのです。
目頭が熱くなる乗客続出でした。
観光列車は乗る人だけでなく、見送る人にも意味のあるもの。
生活のすぐそばにある愛される車両であることを実感しました。
この記事で登場した四国八十八景
9番
本楽寺の枯山水と雄大な吉野川のコラボレーション
眺める場所:蓮華山 本楽寺
所在地:徳島県美馬市穴吹町三島字小島123
13番
船上から満喫する大歩危峡の渓谷美
眺める場所:大歩危峡観光遊覧船
所在地:徳島県三好市山城町西宇1520
88番
観光列車で満喫する四国の海・山・川
眺める場所:しまんトロッコ、四国まんなか千年ものがたり、伊予灘ものがたり
所在地:四国共通
次回予告!4月3日更新
いよいよ最終回。盛りだくさんの1泊2日を終え、編集部員が思ったこととは…
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