家族みんなで考えよう 運転卒業はいつ?
高齢ドライバーによる重大事故が増える中、 「そろそろ運転をやめてほしい・やめたい」と思いつつも、 「車がないと生活できない」という現実を前に、 「運転することに目をつぶっている」という人も多いのでは。 でも、悲劇はある日突然起こるもの。取り返しがつかなくなる前に、 家族で「車に乗らない生活」を考えてみませんか。
【取材協力】
●香川県警察本部運転免許課、亀井裕明さん
●香川県くらし安全安心課、阿部政人さん
【グラフ1】香川県運転免許センター返納人数データより
運転免許の自主返納が過去最多を更新
平成10年に“自主返納制度”が始まって今年で20年目。香川県内では昨年、65歳以上を見ると3913人が返納。その5年前の1159人に比べて3倍以上に増えています(グラフ1)。背景には、返納制度が周知されてきたこと、高齢ドライバーが起こす事故への関心の高さなどがあるとみられます。実際、昨年の県内交通事故で、85歳以上の高齢者が第1当事者(事故に関わった人の中で一番過失の重い人)になった件数は約120件、50歳代の約60件に比べておよそ倍。人生の終盤で“加害者”となる本人だけでなく、家族や相手の悲しみ、苦しみは、想像するに堪えません。
昨年3月から「改正道路交通法」がスタート
そんな状況を鑑み、今回の改正では高齢者による事故を未然に防ぐことが柱に。75歳以上の運転者は、免許更新時の「認知機能検査」で「認知症のおそれがある」と判断されると、医師の診断を受けることが義務付けられました。さらに、事故や信号無視などの違反をした場合も臨時の検査を受けることになり、医師により「認知症」と診断されると、免許停止・取り消し処分となります。
納得の上で「車に乗らない」という選択を
香川県運転免許センターには、危ないと感じた家族からの相談が多いそう。高齢者支援係の亀井裕明さんは、「まずは車がなくなった場合の環境づくりを家族でしっかりと話し合って」と呼びかけます。やみくもに運転を止めさせるのではなく、自身の車に替わる移動手段の見通しが立てば、前向きに自主返納を考えられるようになります。 実際に返納した人の中には「病気の早期発見につながり、早く治療を受けることができた」「認知症に対して前向きに考えられるようになった」など、運転できない不便さと引き換えに、その後の健康寿命について考えるきっかけになったという声も多数。「衰えを認めたくない気持ちがありつつも、背中を押してくれるのを待っている人もいるのでは?」と亀井さんは感じています。とはいえ、どうしても車が必要、一人暮らしなので頼る人もおらず不安という人もいるはず。その場合は、各市町の「地域包括支援センター」へ相談を。
高松市地域包括支援センター
TEL: ︎087(839)2811 (高松市桜町1―10―27)
高齢者の運転チェック(一例)
※免許センター高齢者支援係に寄せられた相談内容より
□車のカギや免許証などを探し回ることがある
□家族や友人との約束を忘れてしまうことがある
□怒りっぽくなった
□広い駐車場で、車を止めた位置が分からなくなることがある
□夜の運転では景色が変わって見えて目的地を見落としてしまう
□ウインカーを点灯させたまま走り続ける
□真っすぐ運転できずふらつく
□車をこすったりぶつけたり、 小さなトラブルが増えた
□一旦停止すべき場所で「いつも大丈夫だから」と止まらないなど自己中心的な運転が増えた
誰でも気軽に受けられる 物忘れプログラムも
免許センターではタブレット端末を使った「物忘れプログラム」を用意。対面ではないのでリラックスして受けられ、数分で終わります。より詳しく検査可能な「TDAS」というチェック方法もあります。検査結果を見ながらの相談もできますよ。問い合わせは TEL: ︎087(881)6110 香川県運転免許センター高齢者支援係。
返納時に「運転経歴証明書」の交付を受ければお得なサービスも
運転免許証を自主返納すると、公的な身分証明書として一生涯使える「運転経歴証明書」(上写真)の交付を申請できます(交付手数料1100円)。これを提示すると、県内の施設1000店以上でさまざまなサービスが受けられるように(平成30年4月現在・随時更新中)。香川県免許センターでは日曜も返納に対応。ただし、申請したい日曜前週の水曜午後5時までに予約が必要です。
予約・問い合わせは
TEL: 087(881)0645 香川県運転免許センター。
優遇店が掲載されたガイドブック
警察署や免許センター、市町窓口で入手できるほか、 県のWEBでも最新情報を確認できます。